★Nostalgic Creek
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★その石段を上り切ると小さなお社がある。小学生の頃は石段の途中の木にとまった蝉を捕まえることに夢中になり──息を切らせることもなく──知らぬ間にそのお社まで辿り着いたものだったが、数十年後の私には相当ハードな上りとなった。お社を目指して一歩一歩踏みしめて行く石段の左側には小さな流れがあり、そこは中学生の頃に初めてアマゴなる渓魚を…短い渓流釣り用の竿で釣った流れでもあった。息を弾ませ、吹き出す汗を拭いながら小さな本殿に一礼し、上って来た方向から(お社を挟んだ)反対側に続く杣道を更に30分程歩くと、石段の始まる地点からは想像もできないほど水の量が増え、夏草に覆われて流れそのものは確認できないけれど、流水が岩に当たって響く水音が蝉の鳴き声に勝り、迫ってくる。

★ネオプレーンのソックスにウェーディングシューズを履き、フライボックス一つと最少限のタックルだけをシャツの(両側の)胸ポケットに入れただけの軽装──ちょっとした“トレッキングごっこ”──で訪れた懐かしい谿は数十年前とまったく変わらない水音で迎えてくれた。

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★お目当てはこのポイント──山の中腹に広がる(棚)田に水を引くために途中枝分かれしているこの渓は、ある地点を過ぎた上流から──釣りが、(余り快適ではないにしても)フライフィッシングが楽しめる流れに変貌する。(とうの昔に過疎化の波が押し寄せた後ではあるがそれなりに)人家が点在する神社の入り口(鳥居のある)アタリでは想像もできない程に…。中学の頃、その村に住む親戚(本家とも言う)のおにいさんが、短い竿、オモリも付けない短い仕掛けの先に付いた鉤に生きたジョロウグモを付けて釣り上げてくれたアマゴ(の美しさに)息を飲んだことが今更ながらに思い出される。この谿は炭焼きのヒト達、木こりのヒト達が随分昔に放流したアマゴがひっそりと流れに潜んでいる流れでもあった。

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★遠い昔の記憶そのままの(キレイな)アマゴは何十年もの間変わらぬ血筋を受け継ぎ、然程大きいとは言えないポイントから(運が良いと──つまりストーキングに失敗しなければ)次々とおおらかにフライに飛び出してくれた。使用したフライは、遠い昔“ふっとばし”でアマゴを釣ってくれた親戚のおにいさんに敬意を表して“私製スパイダー”(笑)。フッキング性能は最悪だったが、それなりに楽しませてくれた。故に(ランディングネットは持って行かなかったけれど)ネットインに成功したのはフライに出てくれた数の2割程度。

★この谿に潜むアマゴは大きくても7寸止まり。それ以上のサイズのアマゴを釣ったことはないし──何しろこの谿を訪れたのは20年以上も前のこと──相当上流まで釣り上がったその頃も(この日も)イワナを釣ったことはない。鮎釣りで賑わう本流筋には大量の鮎が放流されている筈だが、こんな“忘れ去られた”ような谿にアマゴの(成魚)放流をしているとは寡聞にして知る由もないが、アマゴの姿を見れば、この谿で生まれ育ったことは間違いないトコロ(だろう)。──それがどうしたって問われれば返す言葉もないけれど、その流れで生まれ育った渓魚を狙うコトは私にとっての(フライフィッシングに求める)付加価値の一つであることも事実──というわけで、数尾のアマゴをデジカメで撮影、帰路に再び通り抜けさせてもらった神社ではしっかりと(二礼、二拍手、一礼で)参拝し、数時間の“トレッキングごっこ”と“ボサを掻き分けつつ…のフライフィッシング”で、少々ガタの来た膝を庇いつつ、小さな流れの中を縦横に泳ぎ回ったアマゴの小気味良いファイトを反芻しながら石段を下りていく私を囲む虫の音は、もの悲しく夕暮れを告げる“ヒグラシ”に代わっていた。

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※先週までの“お盆休み”はどこにも出掛けない三日間を過ごしておりました(出掛けた先は書店とコンビニくらい…)。オリンピック観戦と読書…そして最小限のプアーな食事だけでダラダラと過ごした三日間、ソファーに寝転んでテレビを見ているうちにいつの間にか眠ってしまったことも度々。今回の釣行記はその時に見た“夢”を思い出して(都合良く)脚色しているだけかも知れません。が、怠惰な休日ばかりでは…と出掛けた(両親の)故郷、父親の運転する車で連れて行ってもらっていたあの日々…見聞すること全てを新鮮に感じ、遊んでいた頃に(一時的にせよ)戻って純粋且つ無心にフライフィッシングを楽しみたくなったことも事実です。故にいつもの文体も(余り好きではない私小説風に)変え、カテゴリーも“フィクション”とさせていただきました。




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▲丁度三年前の8月に拙ブログを始めました。最近はエントリーする頻度が激減し、何かとご心配をかけてしまっているコトも否定できませんが、本人は至って元気で毎日を過ごしておりますので──メール、直電等で当方の近況なぞ問い合わせくださった全国に散らばる数名の拙ブログ・ファン(?)の皆様──ご安心ください。なんて余談はさておき、丸三年──453回目のエントリーまで続けてくることが出来たのは、ひとえに拙ブログをご覧頂いている皆様のお陰と感謝しております。これからも釣行記主体で拙ブログは継続していくつもり故、(エントリー頻度に関して以前のような勢いは取り戻せないにしても)ご愛顧の程、宜しくお願いする次第です。
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by godzilla2004 | 2008-08-25 16:55 | ★イベント/フィクション
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シロートの悦楽的釣り修業を綴る…イチから見直し“諸行無常”的毛鉤釣
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