■Rhapsody in August
■私と洋さん、二人とも未体験の溪に降り立ち、意気揚々と釣り始めますが、当初は曇りがちだった空は快晴となり、八月の太陽が容赦なく照り付けてきます。渇水気味の溪だけにポイントは限られますので、主だったポイントだけを叩き、テンポ良く釣り上がるものの、如何せん渓魚からの反応が得られません。いくつもの堰堤を越え、入脱溪を繰り返しているうちに時間だけが経過していきます。 ■お昼近くなり、このままの状態が続くのであれば他の溪へ移動しようかと(お互いに)考え始めた頃、洋さんの投じたフライに今日初めての反応があります。惜しくもフッキングしませんでしたが、2回連続したCDCダンへのアタックに二人とも色めき立ちます。 その場所は諦めて移動した次のポイントで洋さんが釣り上げたのは8寸半のヤマトイワナ。野性味溢れるそのイワナ、短く済ませた撮影時間とは裏腹にしっかり両の瞼に焼き付けてからの再放流となりました。 ▼その15分後、今度は私の投じた…小さな落込み脇のオーバーハングした岩のエグレの(渇水だけに殆ど止水状態だった)巻き返しに留まったパラシュート・アント(#14)が…水中に消えました。軽く、でも確信を持ってロッドを立てるとガツンとくる手応えと共に(小規模な)プール水底の岩めがけてロッドティップが引き込まれます。一瞬根掛かりかと思った程の引き(岩の下に逃げ込もうとする突進)を何とか往なし、ネットインできたのは泣き尺のヤマトイワナ。ネットですくった直後に、思わず「でかい!」と大声を出してしまいましたが、まぁ「釣りがウルサイ」トリオ構成員なので仕方ありません(笑)。 ▼その溪での仕上げは、堰堤下の(とっても小さな)プールでの釣り。私が投じたブラックナット・パラシュート(#10)に出てくれましたがフッキングした数秒後にテリってしまいました。暫く間をおいた後、洋さんはファーストキャストで8寸強のイワナを釣り上げ、私は7寸ほどのイワナで続きました(同じフライを使用)。お互い数尾のヤマトイワナを釣り上げることが出来たことで大満足し、溪に沿った林道を下り遅めのランチタイム、そして夏の釣り恒例のシエスタ(笑)となりました。 ■休息後は違う場所で釣ることになり移動した先の溪に降り立ったのは午後4時半。この溪が流れ込む川は増水していましたが、こちらは(恐らく)渇水状態であることは流れから出ている石の色の変化で読み取ることができます。水源の山が違うと水量にも大きな違いが出るものなんですね(^^ゞ。入渓場所を探しながら流れに沿った小道を歩いていくと上流から下ってきた二人連れのフライフィッシャーとすれ違います。挨拶の後、洋さんが状況を尋ねるとなかなかに良い釣りができたとのこと。こちらは先行者があったこと前提の釣りとなりますので、彼らが釣り始めたであろう地点よりも(出来るだけ)下流から釣り始めることにします。 ■今までのライズとは違い、殆どスプラッシュが発生せずジェントルにフライが消えるのを確認、ホンの一呼吸置いて合わせをくれるとロッドが絞り込まれるような抵抗が始まります。上流に引っ張られるような抵抗にやむなくウェーディング、相手の(直)下流に位置を変えます。ティペットは6X、往なしながらも相手の好き勝手な動きに追従する必要はありません。上流への動きが止んだのを見計らってロッドを更に上方向へ突き上げ、水面をのたうつ相手をネットに誘導します。差し出したネットの近くまでは引っ張ってくることに成功しても、直前になると力を振り絞って(私から見て)右方向に向きを変え、今後は流芯に乗って下流へ落ちようと仕掛けてきます。それもロッドのトルクを信じて制御し、上流側に泳がせ、再びロッドを突き上げ水面に顔を出させてからネットに誘導。今度は無事ネットインさせることに成功しました。 ▼こちらは洋さん撮影の同一個体の写真。デジイチ使いの洋さんとの釣行、大いに助けていただいておる次第。心より感謝です。それにしても、LEDライトを当てただけ、当然ストロボ未使用…キレイに撮影できるものなんですね~。デジイチ(PENTAX K10D)のパフォーマンスもさることながら、洋さんの撮影テクニックの上達振りにも驚きます。 ■フライフィッシング再開後4年目に突入、初めての尺上ヤマトイワナを釣り上げることができましたが、ストロボを使用せずに撮影できる時間帯ではありませんでした。こんな立派なイワナであれば、明るいうちに撮影したかった…などと贅沢で自己都合優先の我侭を言うべきではないのでしょうが、明るいうちにチャンスがあっただけに“ないものねだり”をしてしまうのかもしれません。渇水状態だからこそ、渓魚の潜むポイントを見付ける・見極めることは難しいわけではありません。規模の大小に関らず、確信を持ってフライを投じることができるポイントに臨んだら、システムチェックと同時に“心の準備”も怠らずキャストするようにすべきですが、“締め括り”の時間になると溜まった疲れがね、ど~んと出てきて集中力が途切れがち(^^ゞ。「夏の溪」ではまず何を置いても歩かなくちゃ勝負になりませんからね。「盛期の溪」とは比べ物にならない長い距離を釣り上がったこの日、気合だけでは何ともならない程の疲れが出てきていたんでしょう(とオッサンならではのエクスキューズ(笑))。オッサンの身体能力を鍛え直すのか、暑い時期の峪の釣りはホドホドにしておくのか、釣行計画自体を見直す必要があるのかもしれません(笑)。 ※長時間のハードな遡行とその労力に伴わない釣果(まぁそれが楽しいわけなんですが…)、そんなイメージが拭えない夏の峪ですが、どうせ釣れないのなら、ダメ元で初めての峪に挑戦してみようと洋さんと(合意の上(笑))臨んだ今回の釣り。午前中は渇水でどこかに潜んで出てこない渓魚と噴き出す汗に気持ちも萎えかけましたが、終ってみれば充分満足できる釣果に望外の尺上ゲットのオマケまで付いてきました。ただし、それはあくまでも結果。渇水、高温、先行者という悪条件(しかし渓流釣りであれば甘受しなければならない状況)の中で、洋さんと戦略を巡らせる…強い日差しと日陰をキーワードにした渓魚の居付き場所の推定、割り切った取捨選択に基づくテンポの良い釣り上がり…などを心がけ、それぞれの過程(=フライフィッシング)を充分に楽しむことができた一日でもありました。後は一日中持続する体力・気力の育成を普段から心がければ完璧な(?)フライフィッシャーになれそうな気がしています(笑)。
by godzilla2004
| 2007-08-06 18:19
| ■フライフィッシング
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Comments(18)
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Led.Zep
at 2007-08-06 21:07
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godzillaさん今晩は。
お暑ぅ~御座います。 なにやら週末は良い釣りできたみたいで何よりですね~。 ここ最近、ヤマトの顔を拝んでいないので行きたいとは思っておりますが・・・。 気力体力時の運。何処かで聞いたフレーズですが、真夏の釣りは総合的な力が無いと辛いですね。
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tokyo_terry at 2007-08-06 23:09
godzillaさん、おばんで〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜すッ!!
尺上ヤマト、おめでと〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ございますッ!! でっきゃ〜尾ビレだで、そうとうな引きをしたでしょ?エェ岩魚だで、それこそ、どえらけにゃ〜デカイ声で叫んだか、想像つくでかんわ(爆) 真夏の暑っつい時にこんなもん釣ると、興奮して余計に暑くなりそうだで、今度は緑のトンネルの涼しいトコでも一緒に行こみゃ〜!! それにしても羨ましいなぁ。ボクはヤマトイワナの尺上ってのには、まだ出会ってないんですよ。あぁ、マジで羨ましいです。 追伸*このエントリー見てたら興奮して、名古屋弁でコメントしてしまいました(笑)
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godzilla2004 at 2007-08-06 23:58
Led.Zepさん、こんばんはっ!!
暑いです(^^ゞ。くれぐれもご自愛くださいね~。おかげさまで真夏の釣りを一日楽しんでくることができました。ヤマトもね、釣ることのできる場所が限定されますから、関東がらだと気楽に出かけるってわけには行きません。でも、出かけられる場合にはご一報ください。ご指定の場所に走っていきますよ~(笑)。 気力も体力も、人並み以下(^^ゞ、今回の釣りで運も使い果たしてしまったようで今シーズンのこれからが心配です(笑)。
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godzilla2004 at 2007-08-07 00:07
terryさん、おばんだす〜〜〜〜ぅ^^!(〜はコピー&ペーストしました(笑))
どえりゃー引きだったでいかんわぁ~。よ~考えると「デカイ」とは言わんかったなぁ…「デッキャーァア」って叫んだ気がするわ(笑)。 興奮したterryさんにお付き合いの意味で名古屋弁コメントさせていただきましたが(笑)、本当にナイスファイトでした。個人的に(特に尺前後の渓魚相手で)信頼しているグリーンのブランクカラーのロッドと、6Xティペットでしたので、最初の突進を往なすことができてからは引きを楽しみつつ、できるだけ速やかにネットインまで持ってこれたと思ってます。 オッサンとしても生まれて初めての尺上ヤマトでした(嬉)。じわじわと嬉しさがこみ上げてくるものなんですね~(^_^;)。
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taros_magazine at 2007-08-07 00:48
godzillaさん、真夏のハードな釣り、お疲れさまでした!
魚と写真の美しさもさることながら、ネットから出しての撮影…『いつもながら、よく魚が逃げないなぁ…』と感心しておりましたが、やっぱり中には出ていっちゃうヤツもいるんですね(笑) そして神々しいまでのヤマトイワナ…『尺イワナ』なんていう言葉が陳腐に感じてしまうようなオーラが出ていますね!いやー、イイものを見せていただきました!
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はげ
at 2007-08-07 07:14
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魚の撮影は濡れたところでお願いします。
godzillaさん、みゃ~~どだがね。
この厳しい時期にえ~釣してまんな~ うらやまし~~~ 洋さんとペアマッチの時は不思議と良い釣りをされてますが何故でしょうね~~ 天然種のイワナはほんと尾びれが凄いですよね、この尾びれで引かれると「切れる切れる」とロッドを送り込んでしまうんですよね。 この感覚最近味わって無いから、ムラムラしてきますよ。
godzillaさん、こんばんは!
土曜日はお疲れ様でした!&晩飯ご馳走様でした(笑) 泣尺ヤマトに尺ヤマト、ほんとにお見事でしたね。 でも、それ以上に、決して好条件とは言えないコンディションで いろいろと臨機応変に戦略を練って楽しめたのが、僕的には フライフィッシングらしくて最高でしたよ。 写真もお褒め頂き恐縮です。 光量もみならず腕も無いですが(笑)、上の写真と同じ場所で アングルを変えて撮影した僕の写真を見れば ここが流れのある水に浸かった場所であることが分って頂けると 思いますね。底石が白色だから分りにくいのかも知れませんが… それと、ラストの写真撮影されていることに全く気づきませんでした。 全くどこ見てるのか、釣る気なしですね(笑) また、汗掻き掻き、山登りに行きましょう!
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godzilla2004 at 2007-08-07 23:03
taroさん、こんばんはっ!!
溪を釣り上がっているときはさほどでもないんですが、初めての溪だったこともあり入脱溪に手間取ったりで汗だくになりました。釣りを終えるまでに2リットルの飲物を消費した釣行でした(笑)。 ネットから出さずに数ショット撮影した後、石で囲ったイケスに入れて撮影…なんですが、なかなか佐藤成史さんのようには撮れませんね。あの方の一連の写真を真似してみたんですが、難しいものです(^^ゞ。 ヤマトとニッコウの違い、私自身よくわからない部分もあるんですが、まぁこれはヤマトでしょう。ゴッツイ顔立ちに感激しました。過去釣った渓魚の「ベスト5」にランクイン間違いなし!ですね(笑)。
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godzilla2004 at 2007-08-07 23:11
はげさん、こんばんはっ!!
おっしゃる通り、渓魚の撮影は濡れたところで行って欲しいものです。川岸の乾いた土の上に渓魚を横たえて…なんてのはダメですよね。またいろいろ教えてくださいね~(笑)。
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godzilla2004 at 2007-08-07 23:20
山猿さん、こんばんはっ&みゃーどでゴジります。
フィジカル面では暑くてハードな釣行でしたが、何とか良形ヤマトの顔を見ることができました。何故だか洋さんとは釣り上がりのリズムが合うようで、お互い必要以上の気遣いなし、自分のペースが守って、プロセスを楽しみつつ結果にも繋がっているんだと思います。 この日、釣り上げたイワナ全部がナイスファイトで楽しませてくれました。今思い出してもニヤけちゃいます(笑)。堪りませんねぇ~。
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godzilla2004 at 2007-08-07 23:42
洋さん、こんばんはっ^^!
夏の釣行、お疲れさまでした&お世話になり有難うございました。 あんな立派なヤマト釣っちゃいましたんで晩飯の一回や二回は当り前かと…(笑)。おっしゃる通り、決して好条件ではなかったので、それなりの対応、対策を練る必要はありました。で、結果が出たり失敗したりで一喜一憂。(オーバーリアクション込みの)ウルサイ釣りが楽しめました(笑)。 ストロボでもLEDライトでもカメラ側から照らすと水面が反射しませんからね。よ~く見ないと半身以上水に浸かっていることはわからないのかもしれません(^^ゞ。 今回の釣りではお互い沢山写真撮影しました。それだけフライフィッシングが楽しかったってことなんでしょう。また、汗だくになりに出かけましょう!
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WOOTAN
at 2007-08-08 09:37
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毎度でおます。
えー釣りしてまんなー。 私は未だ、尺上のヤマメやイワナを釣ったことがありません。来年こそと思っております。(と、言いながらも今週末の石徹白にチョット期待してますが) そうそう、川で釣った最大の魚は79cmでした。
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godzilla2004 at 2007-08-08 17:47
WOOTANさん、こんにちはっ!!
ダメ元覚悟で出かけましたが、良い釣りができました~。まぁたまにはこんなこともありますよ~(^^ゞ。 おお、今週末は石徹白ですか!大物ゲット、充分に期待できるんじゃないでしょうか。楽しみですね~。 79cm…そりゃ凄いですよ~。当方50cm止まりです(^^ゞ。って、どんな魚だったんだろう。気になりますね(笑)。
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dadlife at 2007-08-08 20:10
godzillaさん、こんばんわー。(^^)
お昼寝写真・・何とも素敵な構図ですねー(アートです)。 尺上・・凄いっすねー、こんな感じなんですねー(顔が怖いです・笑)。
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Rolly
at 2007-08-08 22:00
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Godzillaさん、みゃ~~~どです。
随分と遅れてしまいましたが、尺イワナおめでとうございます!! 一番最後のお顔がカッコいいですね。何でも食べてやるぞコノヤロー!って顔つき。いかにも大きくなるまでにさまざまな危険を逃れつつも大胆に食べて生きてきた狡猾さがかもし出されていて・・・。 こんな利巧そうなのを相手にして、そのゲームに勝利したということは素晴らしいです。
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godzilla2004 at 2007-08-09 05:28
dadlifeさん、おはようございます^^!
アートしてる…なんてお褒めいただき有難うございます。日陰を探して右往左往した挙句、見つけた緑の木陰の別天地、気持ち良いシエスタの雰囲気が出ているでしょうか。今思い出しても眠くなりますよ(笑)。 態度のデカイおっさんが釣った、顔のデカイいわなでした(^^ゞ。実物の迫力、相当なものでしたよ~。
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godzilla2004 at 2007-08-09 05:35
Rollyさん、おはようございます!!お祝いのお言葉、有難うゴジります。
本当に迫力満点の顔立ちでした。ちょっぴりビビリましたよ(笑)。まぁ無い知恵ふり絞って、悪あがきとも言えるフライ交換を繰り返した甲斐はありました。相当、運を使い果たした気になってますが、たまにはこんなことがあっても良いかなと一人悦に入っております。サイズはともかくゲーム性を充分に楽しんだという意味で洋さん共々大満足できました~。でもやっぱり、これからの石徹白で釣れなくなるんじゃないかと心配したりしています(笑)。
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